【無断転載】と【引用】の違い、ご存じですか?

インターネットが発達したことで、多くの人がSNSやブログなどを通じて気軽に情報を発信できるようになりました。しかし、もし自分もインターネット上の情報を参考にして発信しようとする場合、「無断転載」でトラブルにならないよう十分に気をつける必要があります。インターネット上のデータはコピーしやすいため、正しい方法で利用しないと意図せず「無断転載」となってしまう可能性があるのです。

今回は、無断で行うと逮捕される可能性もある転載について、引用との違いや無断転載とならないための対策方法などを事例とあわせて解説していきます。

転載と引用は何が違うの?

はじめに知っておかなければならないことは、すべての著作物は「著作権法」によって守られており、他者の著作物を「私的使用のための複製」など、著作権法で例外的に許容される場合以外には複製してはならない、ということです。
ここでいう「私的使用」とは、個人的な使用や家庭内での使用を指しています。そのため、SNSやブログなどインターネット上で発信する場合は、私的使用には該当しないので注意が必要です。

しかし、他者の著作物を複製することは、すべての場合において禁止されているわけではなく、ルールに則って複製することは問題ありません。

そこで私たちが知っておかなければならないことは、「引用」と「転載」の違いです。どちらも他人の著作物を複製、コピーする行為ですが、「引用」か「転載」かで法的な扱いが大きく変わります。その違いについて見ていきましょう。

引用とは

まずは引用について解説します。引用とは、「自身の著作物の従たる範囲内で、他人の著作物を複製、掲載すること」です。後述する転載の場合、「自身の著作物の従たる範囲を超えて」という表現なのに対し、「範囲内で」となっている点が特徴です。

この「範囲内で」には、きちんとした条件があります。以下の5つの条件を満たすことで、法的に認められた複製方法である引用であるといえます。

引用に必要な5つの条件

引用は次の5つのルールを守る必要があります。

  1. 主従関係が明確であること
  2. 引用部分が他とハッキリと区別されていること
  3. 引用の必要性があること
  4. 引用元が明記されていること
  5. 内容が改変されていないこと

自身の著作物と複製する著作物の間に主従関係があることと、どこからどこまでが引用部分であるのかをハッキリと区別して記載します。自身の著作物のために、「引用しなければ説明ができない」といった明確な必要性も重要です。

出典元は引用した内容の出所がどこなのかを明記します。Webページであれば参照元のURLやサイト名、書籍であれば著者や出版社、ページ番号などの情報を記載します。

最後に、引用する際は内容を改変してはなりません。著作物の内容は変えずにそのまま引用する必要があります。

転載とは

転載とは、「自身の著作物の従たる範囲を超えて、他人の著作物を複製、掲載すること」です。「自身の著作物の従たる範囲を超えて」という文言の通り、大部分が他人の著作物で構成された画像や文章などは、転載になり得ます。この主従関係は量だけでなく、両著作物の性質なども考慮して総合的に判断されるため注意が必要です。

無断転載

転載には許諾が必要です。もし著作者から許諾を得ていない場合、この転載は「無断転載」となり、法的に認められない、問題のある複製方法とみなされてしまいます。

無断転載の問題点

無断転載は問題のある複製方法であると解説しましたが、具体的にどのような問題があるのでしょうか。ここでは無断転載の問題点について触れていきます。

無断転載は違法行為

そもそも、無断転載は違法行為です。すべての著作物は著作権法で守られており、無断転載は著作権法の中の「複製権」を侵害する行為となります。
著作物を複製する権利である「複製権」は著作者のものであり、他者が侵害してよいものではありません。なぜなら、複製権の侵害により、著作者は損害を受ける可能性があるからです。

本来得られたはずの利益がなくなる

映画や漫画などは、著作者が販売することで利益を得られるものですが、他者が勝手に複製することで、得られるはずの利益が得られなくなる可能性があります。
また、課金することで読める記事を無断で転載してしまうことで、無料で読むことができるようになってしまい、本来得られるはずの課金収入が得られなくなることも考えられます。

2次被害のリスクも

ほかにも、著作者の知らないところで本意ではない使われ方をした場合、著作者の意図が歪んで解釈されてしまい、インターネット上で著作者に直接非難がいくなどの2次被害を引き起こすこともあります。

無断転載に該当する具体的なケースとは

無断転載は大きな問題になりますが、誰もが気軽に発信できる現在、もしかしたら私たちにその気がなくても、無断転載となってしまっているケースがあるかもしれません。
ここでは、無断転載に該当する具体的なケースをいくつか紹介します。

無断転載によるトラブルの事例

無断転載の例としては、次のようなものが挙げられます。

【自ら執筆した記事が、知らない人のWebサイトに無断転載】

平成21年5月に、他のWebサイトに掲載されていた文章を無断で自身のブログに掲載したとして、著作権法違反の疑いで逮捕された事例があり、罰金30万円の処分が下されました。

【イラスト投稿サイトに投稿したオリジナルの絵が、知らないWebサイトに無断転載】

また、平成30年6月には、Twitterに投稿したイラスト画像を無断転載されたとして、損害賠償請求訴訟がおこなわれ、その請求が認められて30万円の損害賠償が命じられています。

【テレビ番組をアップロードして動画投稿サイトに無断転載】

平成30年8月に、民放のテレビ番組を録画し、動画投稿サイトに無断転載したとして、書類送検されている事例もあります。

このようなトラブルは頻繁に起きており、実際に民事訴訟や刑事裁判に発展しているものもありますので注意が必要です。

引用でもトラブルになる可能性がある?

「転載」ではなく「引用」の場合でも、引用元を明記していなかったり、改変していたりすると、トラブルにつながる可能性があります。引用元を明記していなければ、著作者からすると「無断で使用された」と感じてしまう場合もあります。

また、引用の表記をしながら元の文章を改変して掲載することもNGです。著作者の意図とは異なることも考えられるので、トラブルの原因となります。トラブルを避けるためにも、引用する際は引用のルールをしっかりと守ることが重要でしょう。

無断転載に該当しないようにするには

無断転載に該当しないようにするためには、「個人での利用にとどめること」「著作者に許可を取ること」の2点に気をつけることが大切です。

個人での利用にとどめること

SNSやブログなど、インターネット上で複製物を公開しないことが該当します。気に入った画像や文章などを、自身のスマホやパソコンに複製し、個人的に楽しむ分には何ら問題はありません。

著作者に許可を取ること

しかし、SNSやブログなどで気に入った画像や文章などを共有したい場面が出てくる場合もあります。そのような場合は、必ず著作者に許諾を得るようにしましょう。許諾を得るのが難しい場合も多くありますが、その場合は引用を活用して発信するように工夫が必要です。

なお、著作者に許可を得ない「引用」でも、引用のルールに則っていれば基本的には問題ありません。しかし、たとえ正しく引用したとしても、トラブルになる可能性はあるため、可能であれば著作者に許諾を得ておくとより安心だと言えるでしょう。

著作物の複製時は無断転載に気を付けよう

「転載」と「引用」は、どちらも他者の著作物を複製する行為を表しますが、法的には大きく異なります。転載は違法となる可能性があり、引用はルールに則れば法的に認められていることを覚えておきましょう。

誰もがインターネットを通じて発信することができる現在、気づかないうちに無断転載をしている可能性があります。SNSやブログなどで発信する際は、他者の著作物の取り扱いには十分に注意しましょう。

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【監修者】

古澤 拓 ふるさわ・たく 弁護士
東京大学法学部卒業後、2014年に弁護士登録。以後は4年半ほど法律事務所にて執務した後、現在はスタートアップ企業の法務にて勤務中。法律事務所にて執務中には、メガバンクの法務部への出向なども経験。